モノのモノ [オーディオ]
所有するレコードのうち約2割はMONO盤であるので、当然MONOカートリッジを用意してある。
写真(下)は以前から使っているオーディオテクニカのAT-MONO3/LP。
使用頻度は少ないとはいえ、使用開始2年以上経過して貴重なオリジナル盤を再生するには針先に不安も出てきた為、写真(上)のDENON(デンオン)DL-102を購入した。
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テクニカの上位機種AT33MONO等、別の機種も考えたのですが、「一度は使ってみるべき」DL-102を今回は選択。
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ビニール素材のレコード再生で自然界でもっとも硬いダイアモンドの針が本当に磨耗するのか?という話には諸説紛々ありますが、完全にクリーニングされたレコードをクリーンルームでを再生するような状況以外では、やはり磨耗(劣化)はあると思っています。
それはレコード盤との摩擦によるというよりも、溝の中に入りこんだホコリやゴミ(ミクロな世界の話ですがホコリの中には石のような硬さを持つものもある)に繰り返し衝突する事により、針先が磨耗する、キズがつく、といった事が起きるのだと思ってます。そんな事を考えるとやはり適切なレコードクリーニングというのは欠かせない。
話がそれてしまいました。
DL-102なんですけど、ピンの形状(2本で異様に長い)やその重さ(13グラム。テクニカの2倍!)などから扱いにくい事この上なし。
物理は苦手ですけど、重量のあるカートリッジを軽量のシェルに取り付けた場合どこかでバランスが崩れそうな気がする・・・という事で手持ちの中でも最も重いシェルを選んで取り付けてみた。すると当然のごとく前が重くなりすぎてゼロバランスが取れない。
という事でウェイト部にこんな工夫。
10円玉を3枚貼り付けた。それにしてもみっともない。
で、ワインキャップを使ってみた。大して変わらん。。。
聞いてみた感想ですが、一言でいってすごく好感のもてる音。
普通というのか中庸というのか、初めて聞く音なのに違和感というものが全くない。
昔から聞いてきたような音。
あまりに違和感がないので聞きようによっては新鮮味がなくつまらない?
朴訥というか実直というか、Well respectedな感じ?
対してテクニカの方はもう少し現代的というのか、決して濃くはないけど特有の色付けがある。
どちらにも共通するのはなんともいえぬ安心感。
不確定要素のカタマリのようなアナログ再生のシステムの中、ここだけは間違いがないという安心感がある。
ひたすら真面目に仕事をする。仕事は絶対に間違わない。
信頼できる友人というか、仕事を任せて一番安心できるタイプ。
音の傾向といい安心感といい、なんとなくヤマハピアノとカワイピアノを思い出してしまいました。
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こういう120点は取れないけど常に100点を外さない仕事をする製品はオーディオのような趣味の世界ではつまらないという事になるのかもしれないけど、工業製品としてそれ以上のものはない。
こういう製品を作り上げるまでには地道な研究開発の積み重ねがあったのだと思うし、こんな製品はやっぱり世界で日本の企業にしか作れないものだと思う。Made in Japanを見直してしまった。
今の時代にこのようなニッチな製品を製造・販売したところでどれほどの利益があるのかと心配してしまいますけど、それでもこんな高品質の製品を提供し続けてくれるテクニカとDENONという企業にはなんだか拍手を送りたい気分になってしまったのです。