記事になってない [雑感]
航空機内で心肺停止した男性に蘇生(そせい)措置をして助けた女性が、やじ馬状態のほかの乗客に写真を撮影され、恐怖心などから心的外傷後ストレス障害(PTSD)になった。
女性を診察した国保旭中央病院(千葉県)の大塚祐司医師によると、女性は会社員。救急法の指導員資格があり、機内で倒れた男性に独りで人工呼吸や心臓マッサージをした。男性は呼吸が戻り、規則的な心拍も回復して命を取り留めた。
この間、多くの中高年の日本人男性乗客らが「テレビと同じ」「やめたら死ぬんでしょ」と携帯やビデオで撮影。女性は中年男性が集まる場所で過呼吸症状が出るように。カメラのシャッター音が怖く携帯のカメラも使えなくなった。「やじ馬の罵声(ばせい)と圧力の怖さは忘れないと思う」と話しているという。
客室乗務員は手伝わず、AEDを頼んだが、持ってこなかったという。
人が生命の危機に陥っている状況の中、それを救おうと一生懸命な人が居て、その姿を携帯カメラ・ビデオで撮影するというのは一体どういう厚顔無恥な連中であるのか。文面から察するに国際線の中の出来事の様であり、当然外国人の乗客もいると思われるわけですが・・・同じ日本人男性として恥ずかしい、というか日本の恥です。
それにしても、航空機の客室乗務員というのは急病人発生時には救急看護を行うという職責があるのではなかったか?何も救命措置が出来ず、しかも頼んだAEDも持ってこないって、どういう客室乗務員、どこの航空会社だ?
自分も含め、男性あこがれの職業女性としてスチュワーデスが挙げられますけど、それは制服がいいんだ、容姿がいいんだ、という嗜好の話はさておき、緊急時に的確な行動が取れる、また、その為に厳しい訓練を受けているというカッコよさに魅かれるわけで、緊急時に何もできない普通の人だったら、これまでの憧れは何なのかと。(記事からは客室乗務員の性別は不明ですが)
ところで、この記事どこまで正確なんだろうか?izaは産経新聞社系のニュースサイトですけど、救命措置を全く行わない(行えない)客室乗務員が実際居るのかといえば疑問であるし、航空機内で携帯の電源って入れられるのか?そもそも何故この記事には航空会社の実名がないのか?
先般の毎日新聞の「教師が911テロは自作自演と失言!」の記事(※)ではないけれど、本当は少し違った話であったという事はないですよねえ。
※藤沢市の中学校で教師が「9・11テロは自作自演だ」と授業で教えた。それに対して父兄が抗議したとの毎日の記事。
(6.28追記)
どうにも気になってしまい調べてみたら、記事内の医師の書いた学会報告の中に、このケースだと思われる内容がありました(バイスタンダーのケアに関するレポート)。
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/08/cprtrauma.htm
※バイスタンダーというのは「たまたま生命の危険に陥った人の側にいて救援する人」だそうですが、「もし助からなかったら・・・」という不安と責任が大きなストレスとなって、心のケアが必要になる事があるのだそうです。
記事の内容とレポートにあるケースが本当に同一のものであるかはわかりませんが、記者が何らかの狙いで(5W1Hを意図的にボカして)2年前の出来事をまるで最近起きたニュースであるかのように記事にしたのだとしたら、それは記者と新聞社の姿勢を疑わざるを得ない行為であると思います。
※産経ニュースhttp://sankei.jp.msn.com/life/body/080625/bdy0806250910003-n1.htmにも同一内容の記事が出ていました。誰だって最近起きた出来事だと解釈します。
今回のizaならびに産経の記事、あちこちのブログで話題になっていて、被害女性の心に悪い影響がないのか気になってしまいました。当然ですが関係者の承諾を得た記事だとは思っていますけど。
心ない野次馬の目に耐えながら一人の命を救った、この女性の行動は本当に勇気あるすごい事だと思うし、同じように嫌な思いをする人が出ないように、(自分も含め)多くの人が救命措置を行う側もリスクを抱えている、という事を知る必要があるのだと思いました。